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クラウド移行とは?メリット・課題・失敗しない手順を解説 

thumb what is cloud migration

近年、業務効率化やコスト削減、DX推進を目的に、クラウド移行を検討する企業が増えています。長年利用してきたオンプレミス環境では、サーバーやシステムの老朽化に伴う性能低下や、保守・運用コストの増加が課題となっています。こうした課題への対応策として、クラウドの活用が注目されています。 

一方、クラウド移行を進めるにあたっては、自社に適した移行方式の選定や、移行に伴うリスク、期待できる効果など、事前に検討すべき点が数多くあります。十分な準備をせずに移行すると、想定外のコスト増加やシステム障害につながるおそれもあります。 

本記事では、クラウド移行の基本的な意味から、6つのメリット、8つの課題、代表的な移行方式、失敗を防ぐための手順まで解説します。クラウド移行を検討している方は、ぜひ参考にしてください。 

クラウド移行とは 

クラウド移行とは、企業のデータやアプリケーション、ITインフラなどを、既存の環境から別の環境へ移行することです。一般的には、オンプレミス環境からクラウド環境への移行を指しますが、クラウド間の移行や、クラウドからオンプレミス環境へ戻すケースもあります。 

クラウド移行は、主に次の3つのパターンに分類されます。 

  • オンプレミスからクラウドへの移行  

自社サーバーで運用していたシステムを、AWS・Azure・Google Cloudなどのパブリッククラウドへ移す、最も一般的なケースです。 

  • クラウド間の移行  
  • コストや機能、サポート体制の見直しに伴い、利用中のクラウドから別のクラウドへ乗り換えるケースです。 
  • クラウドリパトリエーション  

セキュリティやコスト面の要件から、クラウド上のシステムをあえてオンプレミス環境へ戻すケースです。 

why cloud migration is indispensable for enterprise
企業のDX推進に欠かせないクラウド移行 

クラウド環境の最大の強みは、事業の成長や状況に合わせてリソースを柔軟に増減できる点にあります。さらに、多くのサービスが「必要な分だけ利用し、使った分だけ支払う」従量課金制を採用しているため、大企業からスタートアップまで有力な選択肢となっています。 

ただし、すべてのシステムがクラウド化に向いているわけではありません。既存システムとの依存関係や厳格なデータ管理要件によっては、移行に手間やリスクを伴う場合もあります。そのため、流行りに流されて急ぐのではなく、自社のワークロードを精査しながら計画的に進めることが成功へのカギとなります。 

クラウド移行で得られる6つのメリット 

クラウド移行には、ITインフラの運用効率化だけでなく、コスト削減や柔軟なシステム運用など、さまざまなメリットがあります。ここでは、クラウド移行によって得られる代表的な6つのメリットを紹介します。 

俊敏性と柔軟性の向上 

クラウドを活用すると、サーバーの調達や環境構築にかかる時間を短縮でき、新しいサービスの開発や市場の変化にも迅速に対応しやすくなります。オンプレミス環境では数週間から数か月かかる場合があるサーバーの準備も、クラウドではサービスや構成によって短時間で行えます。 

スケーラビリティの強化 

クラウド移行によるスケーラビリティの強化は、アクセス急増時のシステム安定稼働に大きく貢献します。負荷に応じてリソースを即座に追加・削減できるほか、オートスケーリング機能を使えば自動調整も可能です。将来の需要を見越して過剰な設備を抱える必要がなくなるため、無駄のない効率的な運用を実現できます。 

イノベーション加速の機会 

クラウド移行は、AIやビッグデータなどの先端技術を手軽に導入し、新規サービスの開発スピードを高めるチャンスを生み出します。検証環境を数分で構築・削除できるため、大規模な初期投資なしで新しいアイデアを試せます。大規模な初期投資を抑えながら新しい技術を検証できるため、企業は新規サービスの開発や技術検証に取り組みやすくなります。 

how cloud migration agility and scalability drive business acceleration
企業の成長を加速させるクラウド移行の俊敏性とスケーラビリティ 

柔軟なIT基盤の構築 

クラウド移行では、すべてのシステムを一度にクラウド化する必要はありません。機密性や業務要件に応じてオンプレミス環境とクラウド環境を組み合わせるハイブリッドクラウドも選択肢の一つです。システムごとに適した環境を選ぶことで、既存資産を活用しながら柔軟なIT基盤を構築できます。 

長期的なコスト最適化 

クラウド移行により、サーバーなどのハードウェアを自社で購入・更新するための初期投資を抑えられる場合があります。一方、移行費用やクラウド利用料、運用体制の整備にかかるコストも発生します。導入前に総保有コスト(TCO)を試算し、移行後も利用状況に応じてコストを継続的に見直すことが重要です。 

システムパフォーマンスの向上 

AWSやAzureなどのパブリッククラウドが展開するグローバルなデータセンターを活用すれば、ユーザーに近いリージョンを選択することで、ネットワークの遅延を抑えられる場合があります。また、適切なリソース構成や負荷分散を組み合わせることで、システムの応答性能の改善も期待できます。 

クラウド移行方式の選び方 

クラウド移行には複数の方式があり、システムの特性や移行目的に応じて適した方法を選ぶことが重要です。ここでは、代表的な3つの移行方式について、それぞれの特徴を解説します。 

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自社ニーズに合致した適切なクラウド移行戦略 

リホスト 

リホストとは、既存のアプリケーションを大幅に改修せず、クラウド環境へ移行する方式です。「リフト&シフト」とも呼ばれ、アプリケーションの変更を抑えながら移行できるため、移行期間や改修コストを抑えやすい点が特長です。一方、既存の構成をそのまま移す場合、クラウドの機能を十分に活用できないことがあるため、移行後に追加の最適化が必要になる場合があります。 

リプラットフォーム 

クラウド移行におけるリプラットフォームとは、アプリケーションの基本構造はそのまま維持しつつ、OSやデータベースの一部をクラウド環境向けに調整して移行する方式です。マネージドサービスの活用によって運用の手間やコストを削減できるほか、大規模なコード改修を伴わずにクラウドの恩恵を受けられるバランスの良さが大きな特長です。 

リアーキテクチャ 

リアーキテクチャとは、既存アプリケーションのアーキテクチャを見直し、クラウド環境に適した構造へ再設計する方式です。要件に応じて、マイクロサービスやコンテナなどの技術を採用することで、拡張性や保守性の向上を目指せます。一方、設計や実装に多くの時間・コストと専門知識が必要になるため、期待する効果や投資対効果を十分に検討したうえで判断することが重要です。 

クラウド移行の8つの課題 

クラウド移行には、技術面だけでなく、コストや社内体制などさまざまな課題があります。事前に課題を把握し、適切に対策することが、スムーズな移行につながります。 

ここでは、クラウド移行で直面しやすい8つの課題を紹介します。 

セキュリティの懸念 

クラウド移行では、データ転送時の暗号化やアクセス権限の設定が不十分だと、情報漏えいにつながるおそれがあります。クラウド事業者と利用者の責任範囲を理解し、移行前から運用後まで一貫したセキュリティ対策を講じることが重要です。 

クラウドではインフラ側と利用者側で責任範囲が分かれる責任共有モデルが採用されており、設定ミスによるトラブルも多く報告されています。そのため、移行から運用後まで一貫したセキュリティ対策を講じ、データの整合性と安全性を確実に守ることが不可欠です。 

コスト管理 

クラウドでは、不要なリソースの稼働や過剰なスペック設定、データ転送料金などによって、利用料が想定を上回ることがあります。予算アラートを設定し、利用状況を定期的に確認するとともに、不要なリソースを削除するなど、継続的なコスト管理が必要です。 

戦略の策定 

移行の目的が曖昧なままプロジェクトを進めると、優先順位が定まらず、期待した効果を得られないおそれがあります。コスト削減や業務効率化などの目標を明確にしたうえで、移行対象、優先順位、スケジュール、成果を測る指標を事前に定めることが重要です。 

アプリの適合性 

すべてのアプリケーションがクラウド移行に適しているとは限りません。既存システムとの依存関係、性能要件、機密性、法規制への対応などを確認し、アプリケーションごとに移行の可否や適切な方式を判断する必要があります。既存の性能問題を抱えたシステムは、そのまま移行しても課題が解消されない場合があるため、移行前に現状を分析し、必要な改善策を検討しておくことが大切です。 

cloud transformation and migration benefits and challenges
クラウド変革と移行がもたらすメリットや直面しやすい課題 

インフラ設計 

クラウド環境の安定性とセキュリティを確保するには、ネットワーク構成、冗長化、バックアップ、アクセス権限などを適切に設計する必要があります。既存環境をそのまま再現するのではなく、クラウドの特性や業務要件に応じた構成を検討することが重要です。 

人材育成 

クラウド移行を円滑に進めるには、クラウドサービスの仕組みや料金体系、セキュリティ設定を理解した人材が必要です。社内研修や資格取得支援を通じてスキルを育成するほか、専門知識が不足している場合は外部パートナーの支援を活用する方法もあります。 

出口戦略 

クラウド移行における出口戦略は、特定のサービスに依存しすぎて将来の乗り換えが難しくなるベンダーロックインを防ぐために見落とせない要素です。技術的な移行手順だけでなく、契約解除条件やデータ返却方法、法的対応まで検討しておく必要があります。移行の段階から将来の選択肢を残すことで、事業環境の変化に柔軟に対応できるようになります。 

モダナイゼーション 

既存システムをクラウドへ移行するだけでは、レガシーシステムが抱える技術的負債や保守性の問題が解消されない場合があります。必要に応じてアーキテクチャやアプリケーション構造を見直し、段階的にモダナイゼーションを進めることで、保守性や拡張性の向上を目指せます。 

特に、長年利用してきたメインフレームのクラウド移行では、既存システムの制約や移行方式の選定など、慎重な検討が必要です。メインフレーム特有の課題や4つの移行方法、成功のポイントについては、[メインフレームのクラウド移行完全ガイド|課題・メリット・4つの移行方法・成功ポイント ]で詳しく解説しています。 

失敗しない進め方:クラウド移行の手順 

クラウド移行の進め方は、企業の規模や既存システム、移行目的によって異なります。一方で、基本的な流れは「移行前」「移行中」「移行後」の3つのステージに分けられます。 

ここでは、各ステージで押さえておきたいポイントを解説します。 

tailored cloud transformation processes for every system and business requirement
企業ごとに異なる要件とシステムに合わせた最適なクラウド移行プロセス 

移行前 

クラウド移行を成功させるには、プロジェクトの成否を握る移行前の綿密な準備が不可欠です。まずはコスト削減や業務効率化といったビジネス目標を具体化し、関係者間で明確な方針とスケジュールを共有することで、途中のブレを防ぎます。 

次に、社内のIT資産を棚卸ししてシステム間の依存関係やセキュリティ要件を調査し、移行対象とオンプレミスに残す対象を慎重に選別します。業務への影響が少ない領域から順に優先順位をつけ、実行性の高いクラウド移行計画を策定することが確実な成功への土台となります。 

 
なお、ERPシステムのクラウド移行を検討している場合は、 [「【完全版】ERPのクラウド移行|主要メリットと失敗しない導入手順を解説」]もあわせてご覧ください。 

移行中 

計画を策定したら、リスクを管理しながら移行作業を進めます。作業と並行して、担当者のトレーニングや運用体制の整備を行い、役割分担を明確にしておくことが重要です。 

また、システムを一度に切り替えるのではなく、影響範囲を考慮しながら段階的に移行する方法も有効です。検証環境で十分に動作確認を行い、本番環境への切り替え手順と、問題が発生した場合の切り戻し手順を事前に用意しておくことで、業務への影響を抑えやすくなります。 

移行後 

クラウド移行は、システムを新しい環境へ移し終えただけで完了するわけではありません。移行後の継続的な運用改善とモニタリングを行ってこそ、クラウド本来のメリットを最大限に引き出すことができます。 

移行後は、監視ツールを活用してシステム全体の可視性を高め、不審なアクセスや障害の兆候をいち早く検知できる体制を整えます。さらに、リソースの作成権限や利用ルールを定めて組織的なガバナンスを確立しつつ、定期的なコスト分析とリソースの最適化を繰り返すことで、高いパフォーマンスとコスト効率を両立した持続可能な運用を実現できます。 

クラウド移行に役立つ主なツール 

クラウド移行を確実に成功させるためには、周到な戦略と準備だけでなく、プロセスを強力にサポートする適切なツールの活用が欠かせません。専用の移行ツールを導入することで、複雑なプロセスが自動化され、担当者は重要課題への対応や全体管理に集中できるようになります。 

現在、多くの企業では、AWS・Google Cloud・Microsoft Azureという主要パブリッククラウドが提供する公式移行サービスを活用しています。主な機能とツールは以下の通りです。  

機能 AWS Google Cloud Microsoft Azure 
データベース移行 AWS Database Migration Service Database Migration Service Azure Database Migration Service 
障害復旧 (DR) AWS Elastic Disaster Recovery – Azure Site Recovery 
データ転送 AWS Transfer Family、DataSync Cloud Data Transfer、BigQuery Azure File Sync 
サーバー移行 AWS Application Migration Service (MGN) Migrate to VMs / Containers Azure Migrate 

移行作業では予期せぬ障害に直面することもありますが、自社のシステム要件に最適なツールを慎重に選定・活用することで、クラウド移行プロセスを大幅に効率化し、リスクを最小限に抑えることが可能です。 

まとめ 

クラウド移行には、システム運用の効率化やコスト最適化、柔軟なリソース拡張など、さまざまなメリットがあります。一方で、セキュリティ対策やコスト管理、社内の人材・体制など、事前に検討すべき課題もあります。 

クラウド移行を成功させるには、まず移行の目的や対象範囲を明確にし、自社のシステムに合った移行方式やツールを選ぶことが重要です。また、「移行前・移行中・移行後」の各段階で計画的に進め、必要に応じて専門家の支援を活用することも有効です。 

ルビナソフトウエアでは、リホスト方式を中心としたクラウド移行を支援しています。アプリケーションのコードやアーキテクチャを大きく変更せず、既存のデータやアプリケーション、IT資産をクラウドへ移行することで、業務への影響を抑えながら移行を進めます。 

システムの特性に応じて手動で移行するほか、AWS Application Migration Serviceなどのツールを活用し、移行作業の効率化を図ることも可能です。セキュリティにも配慮しながら、お客様の要件に合わせたクラウド移行を支援します。 

ルビナソフトウエアには800名以上のIT人材が在籍し、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどの主要クラウドプラットフォームに関する知識・経験を蓄積しています。また、ISO 9001およびCMMI レベル3に基づく品質管理体制のもと、ソフトウェア開発・運用を支援しています。 

クラウド移行をご検討中の方や、移行の進め方にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。 

よくある質問 

Q1. クラウド移行とは何ですか? 

クラウド移行とは、企業が利用するデータやアプリケーション、ITインフラなどを、オンプレミス環境や既存のシステムからクラウド環境へ移行することです。一般的にはオンプレミスからクラウドへの移行を指しますが、クラウド間での移行も含まれます。クラウド上のシステムをオンプレミス環境などへ戻す取り組みは、クラウドリパトリエーションと呼ばれます。 

Q2. クラウド移行のメリットとは? 

クラウド移行の主なメリットは、リソースを柔軟に調整できること、環境構築にかかる時間を短縮できること、ITインフラのコストを最適化できる可能性があることです。また、AIなどのクラウドサービスを活用しやすくなり、新しい技術の検証やサービス開発を進めやすくなります。ただし、実際の効果はシステム構成や利用方法によって異なります。 

Q3. クラウド移行でよくある課題とは? 

クラウド移行でよくある課題には、セキュリティ対策、コスト管理、既存アプリケーションとの適合性、専門人材の不足などがあります。これらの課題に対応するには、移行前にIT資産やシステム間の依存関係を調査し、明確な移行方針と運用体制を整えることが重要です。 

Q4. クラウド移行はどのように始めればよいですか? 

まず、クラウド移行の目的を明確にし、社内のIT資産やシステム間の依存関係を調査します。そのうえで、移行対象と優先順位を決め、システムの特性に合った移行方式やツールを選定します。移行後の運用やコスト管理まで見据えて計画を立てることが重要です。自社だけでの対応が難しい場合は、専門知識を持つパートナーへの相談も選択肢となります。 

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