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【完全版】金融業界におけるレガシーシステムの課題とは?成功事例・刷新手法を徹底解説

thumb challenges of legacy systems in the financial industry

金融業界のDX推進において、現在最大の障壁となっているのがレガシーシステムの存在です。

数十年にわたり日本の金融インフラを支えてきたメインフレームや基幹システムは、高い安定性を誇る一方で、保守コストの増加、システムのブラックボックス化、そしてAIやクラウドといった先端技術との連携不足など、深刻な課題が顕在化しています。いわゆる「2025年の崖」問題を過ぎた今もなお、レガシー化に伴うセキュリティリスクや、メインフレームを扱えるシニアエンジニアの引退は、経営上の重要課題となりつつあります。

さらに、頻繁な金融規制の改正や市場変化への対応スピードの遅れから、多くの金融機関が「刷新の必要性を痛感しながらも、莫大なコストとリスクゆえに踏み切れない」というジレンマに陥っているのが現状です。市場での競争力を維持し、次世代の金融サービスに対応するためには、もはやシステムのモダナイゼーションは避けて通れません。

そこで本記事では、金融業界がレガシーシステムによって直面している具体的なリスクや課題を整理します。その上で、レガシー脱却に向けた刷新手法や、実際に変革を実現した金融機関の成功事例をご紹介します。

自社のシステム戦略のロードマップ策定や、DX推進の一手として、ぜひ最後までお読みください。

金融業界がレガシーシステムを抱え続ける理由

金融業界では、他業界と比較してもレガシーシステムの依存度が高く、その解消は長年の課題となっています。ここでは、その背景を3つの観点から整理します。

レガシーシステムの残存状況:銀行・保険業は69%

IPAの2025年調査によると、全産業におけるレガシーシステムの残存率は平均61%であるのに対し、銀行・保険業では69%と平均を大きく上回っています。

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レガシーシステムの残存状況(産業分野別)
出典:DXの現在地とレガシーシステム脱却に向けて
レガシーシステムモダン化委員会総括レポート(2025年5月28日)

この結果は、金融業界において依然として老朽化した基幹システムが業務の中核を担っている現状を示しています。特に勘定系システムなどの重要領域では、長年にわたり既存システムが使い続けられているケースが多く、刷新の遅れが顕著です。

安定稼働優先の文化が刷新を阻む

金融システムは預金・為替・融資など、社会インフラとしての役割を担っているため、「止まらないこと」が最重要要件とされています。

その結果、抜本的なシステム刷新よりも、既存システムを維持しながら小規模な改修を繰り返す運用が一般化しました。これにより、システム構造の複雑化が進み、モダナイゼーションの難易度がさらに高まっています。

カスタマイズの蓄積とブラックボックス化

長年の運用の中で各金融機関ごとに独自のカスタマイズが積み重なり、システムは複雑化・ブラックボックス化しています。

特にメインフレームやオフコンといったレガシー基盤上に構築されたシステムは、構造が属人化しやすく、全体像の把握が困難になりがちです。そのため、クラウド移行や新システムとの統合時には、互換性問題やデータ連携の不整合といった課題が発生します。

結果として、レガシー資産の再構築には多大なコストとリスクが伴い、DX推進の大きな障壁となっています。

金融業界に限らず、多くの企業がレガシーシステム刷新の必要性を認識しながらも、さまざまな理由から移行に踏み切れないケースが少なくありません。

>>>関連記事: 

レガシーシステム刷新の完全ガイド|脱却が進まない理由・落とし穴・成功ポイントを解説 

レガシーシステムが金融業界にもたらす3つの課題

金融業界では、多くの金融機関がレガシーシステムに起因するさまざまな課題を抱えています。放置を続けると、コスト増加やリスク拡大だけでなく、DX推進の遅れにもつながりかねません。

代表的な課題として、以下の3つが挙げられます。

・保守コストの増加と技術者不足

・システム障害・セキュリティリスクの増大

・DX推進・新サービス開発の足かせ

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金融業界におけるレガシーシステムの3つの課題

それぞれの課題を詳しく解説します。

保守コストの増加と技術者不足

金融業界の基幹システムは、COBOLやPL/Iといった旧来のプログラミング言語で構築されているケースが多く、数十年にわたる度重なる改修によって保守コストが年々高騰しています。さらに深刻なのが、これらレガシー技術に精通したシニアエンジニアの高齢化・引退に伴う人材不足であり、若手技術者のクラウドネイティブ志向も相まって、技術継承の断絶は深刻な経営課題となっています。

システムのブラックボックス化により、障害対応や仕様変更のたびに莫大な時間とコストを要するようになり、本来DX推進や新規IT投資に充てるべき戦略的リソースが既存システムの維持管理に食いつぶされるという「技術的負債」の悪循環が生じているのが現状です。

システム障害・セキュリティリスクの増大

金融業界のレガシーシステムでは、すでにメーカーサポートが終了した(EOL)OSやミドルウェアが稼働し続けているケースも多く、最新のセキュリティパッチが適用できないためサイバー攻撃や脆弱性への対応が後手に回るリスクを常に抱えています。

決済や取引停止といったシステム障害が社会インフラに致命的な打撃を与える金融業界において、これらのリスクは単なるIT部門の課題に留まらず、企業の社会的信用や事業継続性(BCP)を根本から揺るがす重大な経営課題となっています。

DX推進・新サービス開発の足かせ

オープン性に欠けるレガシーシステムは、最先端のAIやクラウド、外部APIとの連携性が著しく低いため、新技術の導入時に膨大な追加開発や調整を要し、システム連携の大きな障壁となります。これにより、顧客ニーズを捉えた迅速なフィンテック(FinTech)サービスの開発や市場変化への即応が遅れ、デジタル競争において競合他社に後れを取るリスクが極めて高くなります。

こうした老朽化・複雑化したシステムを放置することは、企業のデータ活用を阻むだけでなく、多大な経済損失を生む「2025年の崖」の到来に直結するため、次世代の金融DX推進に向けたレガシー脱却はもはや避けて通れない最優先課題となっています。

レガシーシステム刷新は金融DX実現の重要な土台です。金融DX全体の考え方や成功ポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

>>>関連記事:金融DXとは?メリット・課題・成功事例・推進ポイントを徹底解説 

金融機関におけるレガシーシステム脱却の成功事例

レガシーシステムの課題解決に向けて、多くの金融機関がモダナイゼーションを推進しています。ここでは、レガシーシステム脱却に成功した金融機関の事例を紹介します。

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金融業界におけるレガシーシステム脱却の成功事例3選

三菱UFJ信託銀行|勘定系システムのモダナイゼーション事例

【課題】

三菱UFJ信託銀行では、長年運用してきた勘定系システム(コアバンキングシステム)が肥大化・複雑化し、急速な市場変化やデジタル化のスピードに追いつけないという課題を抱えていました。機能が密結合しているため、一部の変更が全体に影響し、新サービスの迅速な開発や外部連携を阻む要因となっていました。

【手法】

このレガシー課題に対し、同行は業務単位でシステムを分割する「疎結合化」を採用。APIを活用したマイクロサービス化を進め、機能のスリム化(不要機能の整理)を徹底しました。これにより、従来のメインフレーム中心の環境から、クラウドとオンプレミスを組み合わせたハイブリッド基盤への移行を推進しています。

【効果】

最大のポイントは、一斉にシステムを切り替える「ビッグバン移行」を避け、段階的なアプローチを選択した点です。ミッションクリティカルな金融システムにおいて、業務停止リスクを最小限に抑えつつ、安全かつ確実に基盤を刷新する、金融DXの成功モデルとなっています。

参考:
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240709-2982144/

みずほフィナンシャルグループ|レガシー刷新とDX戦略の一体化

【課題】

みずほフィナンシャルグループは、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の統合という歴史的経緯から、システム構造が極めて複雑化していました。新基盤「MINORI」への刷新後も、さらなる市場変化に対応するためには継続的なモダナイゼーションが必要不可欠でした。しかし、複雑なシステム環境が、グループ全体のデジタル化(DX)や迅速なビジネス変革を阻む要因となっていました。

【手法】

同グループは、システム基盤のモダナイゼーションを単なるIT部門のシステム更新プロジェクトとしてではなく、経営戦略・ビジネス変革と直結したグループ全体のDX戦略と一体化させました。新システムへの大規模投資と並行して、組織体制や業務プロセスそのものの抜本的な見直しに着手。さらに、ITによるビジネス変革を支える「人的資本経営(DX人材の育成・確保)」を両輪で進める手法を採用しました。

【効果】

最大の効果は、モダナイゼーションがITインフラの整備に留まらず、事業全体の競争力強化に直結した点です。「最後のチャンス」と位置づけたシステム刷新を通じて、組織の俊敏性が向上。経営トップの強いコミットメントのもと、ビジネスモデルの変革とシステム刷新を完全に同期させることで、レガシー脱却と攻めの金融DXを同時に実現した先進事例となっています。

参考:
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/24/fujitsu1108/

福島銀行|クラウドネイティブ勘定系への全面移行

【課題】

福島銀行では、従来型のオンプレミス勘定系システムを維持し続けることによる保守・運用コストの高止まりが大きな経営課題となっていました。さらに、DX推進に必要な柔軟性の不足に加え、地方銀行(地銀)特有のIT人材不足も重なり、限られた経営リソースのなかでいかに効率的にシステム近代化を実現するかが急務でした。

【手法】

この課題に対し、同行はSBIグループとフューチャーアーキテクトが共同開発した地銀向け「次世代バンキングシステム」を採用。2024年7月、国内初の事例としてAWS(Amazon Web Services)上で勘定系システムを完全稼働させました。具体的には「Amazon EKS」を活用してアプリケーションをコンテナ化し、業務機能をマイクロサービス化。AWSの伴走支援を受けながら、わずか3年という短期間で全面移行を完了しました。

【効果】

クラウドネイティブ化により、API経由でフィンテック企業をはじめとする外部システムとの接続が容易になり、新サービス開発のスピードが大幅に向上しました。また、東京・大阪のマルチリージョン構成により、予期せぬ障害時でもRPO(目標復旧時点)1秒以内という高いレジリエンシーを実現。国内銀行初となる24時間365日体制のインシデント管理サービスも導入し、運用の効率化と安定稼働を両立させています。

参考:
https://press.aboutamazon.com/jp/news/aws/2025/1/sbi-fukushimabank-corebanking-systems-migration-to-aws

金融業界におけるレガシーシステム刷新の手法

金融業界におけるレガシーシステム刷新を成功させるためには、明確な戦略と段階的なモダナイゼーションの推進が欠かせません。

ここでは、金融機関がレガシーシステム脱却を進める際のポイントを5つのステップに分けて解説します。

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金融業界のレガシーシステム刷新を成功に導く5つのステップ

ステップ1:アセスメント(現状分析)

金融モダナイゼーションの第一歩は、長年蓄積された技術的負債や複雑なシステム依存関係を正確に可視化し、ブラックボックス化を解消することから始まります。この現状分析を怠ると、移行工程で想定外のシステム障害やトラブルが頻発し、プロジェクトが頓挫するリスクが高まるため、各システムがビジネスに与える影響度を定量的に評価すると同時に、コスト削減や開発スピードの向上、IT人材不足の解消といった金融DXの目的とゴールを明確に定義することが不可欠です。

ステップ2:ロードマップの策定

現状分析完了後は、ミッションクリティカルな金融システム特有の移行リスクを最小限に抑えるため、ビッグバン方式を避けた段階的な移行計画を立案することが最重要です。具体的には、影響の少ない業務領域からパイロットプロジェクトとして試行し、そこで得た知見を活かして優先度の高い機能から順次、システムの疎結合化やクラウド移行といったモダナイゼーションを推進していきます。各フェーズの目標、開発期間、予算を明確なマイルストーンとして設定し、進行状況を検証できる体制を整えることで、確実性の高い金融DXへの道筋を確立できます。

ステップ3:推進体制の構築

金融機関のレガシーシステム刷新を成功に導くためには、IT部門に閉じず、経営層を巻き込んだ推進委員会を設置し、予算配分や迅速な経営判断を行える全社的なガバナンス体制を整備することが不可欠です。さらに、現場の業務知識を持つビジネス部門と技術的知見を有するIT部門が融合したクロスファンクショナルな専門チームを組織し、モダナイゼーションを経営戦略や金融DX全体と一体化させて推進するとともに、自社にノウハウが不足している場合は高度な知見を持つ外部コンサルタントやITベンダーとの協働体制を戦略的に構築することが極めて重要となります。 

ステップ4:リスク管理と品質保証

わずかな不具合が社会的信用や顧客資産に直結する金融システム刷新では、データ移行、セキュリティ、システム性能などの潜在的リスクを事前に洗い出し、厳格な品質保証体制を確立することが極めて重要です。具体的には、自動化テストの導入による継続的な品質確保に加え、新旧システムを一定期間並行稼働させてデータ整合性を徹底検証する移行期間の設定や、障害シミュレーションによる耐障害性の事前検証を行うことで、本番環境への移行トラブルを未然に防ぎ、ミッションクリティカルな金融DXにおける安全なシステム安定稼働を実現できます。

ステップ5:実行とコミュニケーション

プロジェクトの実行フェーズにおいては、定期的な進捗会議を通じて課題や移行リスクを早期に検知・解消するだけでなく、開発成果を全社へ継続的に発信して組織全体のモチベーションを維持することが重要です。また、新システムへの移行に伴うユーザーへの迅速な情報提供や入念な操作トレーニングを実施して現場の業務混乱を防ぐとともに、小さな成功を積み重ねながら状況変化に応じて計画を柔軟に見直すアジャイルなアプローチを徹底することが、金融モダナイゼーションを最終的な安定稼働へ導く鍵となります。

まとめ

金融業界におけるレガシーシステムからの脱却は、単なる維持保守コストの削減やシステム障害リスクの低減といった「守りのIT投資」に留まりません。激変する市場環境においてビジネスのアジリティを高め、最先端の顧客体験を創出し、新たな収益モデルを確立するための「攻めの経営戦略」そのものです。

このモダナイゼーションを成し遂げた金融機関は、データ活用能力を極限まで高め、パーソナライズされたサービスを提供できるようになるだけでなく、API連携を通じて異業種とつながる新たな金融エコシステムの中心的な存在へと進化を遂げるでしょう。

クラウドネイティブ化やマイクロサービス化への道のりは決して平坦ではありませんが、明確なビジョンと段階的なロードマップ、そして変革への強い意志があれば、レガシーの制約を解放し、未来の競争力を確実に手にすることができます。

ルビナソフトウェアでは、COBOLをはじめとするレガシーシステムの維持保守から、Java等への段階的なシステム移行まで一気通貫でサポートいたします。

大手金融機関向けシステム開発において15年以上の豊富な実績を持つベトナムの専門チームが、強固なセキュリティと高品質な開発体制で御社の貴重なシステム資産を守り、次世代へと進化させます。弊社のCOBOL専門知識を持つ熟練のSEが、現行システムのヒアリングから最適なアプローチのご提案まで日本語で丁寧に対応いたします。

「どこから着手すべきかわからない」「まずは現状を整理したい」という場合も、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

金融業界におけるレガシーシステムの課題やモダナイゼーションについて、よく寄せられる質問をまとめました。

Q1. レガシーシステムとは?

レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みで構築され、長年の継ぎ足しや改修によって構造が複雑化・ブラックボックス化した既存システムのことです。高い安定性を維持しているケースもある一方で、ドキュメントの形骸化や技術の老朽化により、維持保守コストの高騰や最新のデジタル技術との柔軟な連携を阻む要因となっています。

Q2. 金融業界におけるレガシーシステムとは?

金融業界におけるレガシーシステムとは、預金や為替、融資といったミッションクリティカルな基幹業務を支える勘定系システム(コアバンキングシステム)やその周辺システムを指します。これらは社会的インフラとして強固な安定稼働を続けてきた一方で、数十年にわたる法改正や新機能の継ぎ足し・改修によってプログラムがモノリシックに複雑化しており、最新のクラウド技術や外部APIとの柔軟な連携が困難な「ブラックボックス構造」になっているのが最大の特徴です。

Q3. なぜ金融業界でレガシーシステム刷新が進んでいるのですか? 

金融業界でレガシーシステム刷新が加速している理由は、老朽化システムの維持管理にリソースが割かれる技術的負債を解消し、金融DXや新たな金融サービスの実現に向けた基盤を整備するためです。背景には、COBOL技術者の高齢化による保守コストの高騰とIT人材不足、サポート終了に伴うシステム障害やセキュリティリスクの増大、さらにクラウドや外部APIとの連携性不足による新サービス開発の遅れという3つの致命的な課題があります。

Q4. 金融業界におけるレガシーシステムの主な課題とは?

主な課題は、COBOL等の旧来言語に起因する保守コストの高騰と技術者高齢化による人材不足、メーカーサポート終了に伴うシステム障害やセキュリティリスクの増大、そしてオープン性の欠如によるクラウドや外部APIとの連携性不足がもたらす新サービス開発の遅れという3点です。

Q5. 金融業界ではどのようにレガシーシステム刷新を進めていますか?

金融業界におけるレガシーシステム刷新は、移行リスクを最小限に抑えるため、現状分析で技術的負債を可視化した上で、ビッグバン方式を避けて段階的に移行するロードマップを策定・実行するのが一般的です。経営層を巻き込んだ全社的な推進体制の構築、新旧システムの並行稼働による徹底したリスク管理と品質保証、そして現場の混乱を防ぐ丁寧なコミュニケーションをアジャイルに積み重ねることで安全なモダナイゼーションを実現しています。

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