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金融システムの保守委託前に確認すべき9つのポイント|失敗しない選び方も解説 

thumb how to choose evaluation criteria to check before outsourcing financial system maintenance

金融業界ではデジタル化が進み、システムの安定稼働とセキュリティの確保がますます重要になっています。そのため、システムの導入後も、継続的な保守・運用体制を整えることが欠かせません。 

 一方、金融システムの保守には、高度な技術力に加え、金融業務や関連法令・ガイドラインへの理解が求められます。社内のIT人材不足や運用負荷の増大を背景に、保守業務の外部委託を検討する金融機関もあります。 

委託先を選ぶ際は、技術力や費用だけでなく、セキュリティ対策、障害対応体制、品質管理、金融分野での実績などを総合的に評価することが重要です。また、外部委託後も、委託元には委託先の業務を適切に管理・監督することが求められます。 

本記事では、金融システムの保守委託先を選ぶ際に確認したい9つのチェックポイントを解説します。さらに、委託先の選定から運用開始までの進め方や、契約時に確認すべき事項も紹介します。新たな委託先の選定や既存の委託先の見直しを検討している方は、ぜひ参考にしてください。 

金融システムとは? 

金融システムとは、銀行、証券会社、保険会社、クレジットカード会社などの金融機関が業務を遂行するために利用するITシステムの総称です。口座管理、送金・決済、融資、取引管理などの処理を支え、安全かつ正確な金融サービスの提供に欠かせない役割を担っています。 

overview of financial systems
金融システムの基礎知識と概要 

ここでは、社会全体の金融の仕組みではなく、金融機関が業務で利用するITシステムを「金融システム」と定義して解説します。 ATMでの預金の引き出しやスマートフォンでの資産運用は、この高度なシステムによって実現されています。 

金融システムの最大の役割は、お金の流れや決済を止めずに動かし続けることです。裏側では膨大なデータ処理が自動で行われており、万が一システムが停止すれば社会経済に甚大な影響を及ぼします。そのため、金融システムには高い信頼性や可用性に加え、厳格なセキュリティ対策が求められます。 

このように社会を陰で支える金融システムにおいては、導入後もその高い品質を維持し続けるための高度な保守と運用体制が不可欠です。 

金融システムに必要な主な機能 

金融システムは、口座管理や決済、リスク管理など、複数の機能が連携して金融業務を支えるITシステムです。 

key functions supporting financial systems
金融システムを支える4つの主要機能 

金融システムの保守を外部委託する際は、対象システムの機能を把握し、委託範囲や必要な技術要件を明確にすることが重要です。 

ここでは、金融システムの主な機能を4つに分けて解説します。 

口座管理・顧客情報管理(KYC) 

金融システムの中核を担うのが、口座管理や顧客情報管理の機能です。主に、以下のような処理を行います。 

  • 顧客情報の新規登録・更新 
  • 本人確認手続き 
  • 属性情報や契約情報の管理 
  • 口座残高の管理 
  • 入出金履歴の記録 
  • マネー・ローンダリング対策に関する情報管理 

これらの機能では、データの正確性を確保するとともに、監査ログの記録・保存や更新履歴の追跡が重要です。また、本人確認やマネー・ローンダリング対策に関する法令・規制の変更に対応するため、保守段階でも継続的な確認と必要な改修が求められます。 

送金・決済・取引処理 

送金や決済のシステムには、大量の取引を正確かつ迅速に処理することが求められます。そのため、取引量の増加に対応できる拡張性に加え、高い可用性と堅牢性が重要です。主な対象は以下のとおりです。 

  • 銀行間送金や全銀システムとの接続 
  • クレジットカード・デビットカード決済 
  • 即時決済処理 
  • SWIFTやCAFISなどの外部ネットワークとの連携 
  • トランザクションログの記録・保存 
  • 障害発生時の復旧処理 

外部ネットワークとの連携では、エラー処理やタイムアウト制御を適切に設計する必要があります。また、接続先の仕様変更に伴う改修も発生するため、保守担当者には外部システムとの連携仕様に関する知識が求められます。 

リスク管理・不正検知システム 

不正アクセスや不正取引の防止は、金融業務における重要な課題の一つです。不正検知システムには、主に次のような機能があります。 

  • AIや機械学習を活用した異常検知 
  • 取引限度額のチェック 
  • 不審な振込パターンの検出 
  • IPアドレスや端末情報の分析 
  • セッションの異常検知 

不正の手口は変化し続けるため、システムを構築して終わりではありません。検知ルールやモデルを継続的に見直し、検知の即時性と精度の両立を図ることが重要です。 

レポート・帳票・監査対応 

金融システムには、業務や監督官庁への報告に欠かせない多種多様な帳票やレポートの出力機能が求められます。主な対象は以下のとおりです。 

  • 金融当局への提出資料 
  • 取引履歴に関する帳票 
  • 入出金や収益に関する各種レポート 
  • 内部監査や外部監査向けの資料 
  • 重要指標や経営管理のためのレポート 

帳票や取引記録などの保存期間・管理方法は、対象となる記録の種類や関連法令、社内規程に応じて定める必要があります。保守委託時には、記録の保存要件に加え、アクセス権限やバックアップ、必要なデータを適切に取得できる仕組みも確認しましょう。 

金融システムを支えるソフトウェアの種類や開発上の課題については、金融ソフトウェア開発の基礎知識もあわせてご覧ください。 

外部委託先選定で確認すべき9つのチェックポイント 

金融システムの保守委託では、システムの安定稼働を維持するため、委託先の技術力や管理体制を慎重に見極める必要があります。また、委託後も金融機関には委託先を適切に管理・監督する責任があります。 

ここでは、金融システムの保守委託先を選ぶ際に確認すべき9つのチェックポイントを解説します。比較検討時の評価基準として活用してください。 

checkpoints to choose the right financial system vendor
金融システムの外部委託先選定で確認すべき9つのチェックポイント 

金融システムの実績・ノウハウ 

まず確認したいのは、金融分野における保守実績です。金融システムには業界特有の業務ルールや品質要件があるため、一般的なシステム開発の経験だけでは、障害の兆候を検知したり、金融業務への影響を適切に判断したりすることが難しい場合があります。 

自社と同じ業態・業務領域での保守実績、保守の継続年数、金融業務に精通したエンジニアの有無などを確認しましょう。実績の件数だけでなく、担当したシステムの規模や業務範囲、具体的な対応内容まで把握することが重要です。 

セキュリティ対策・認証取得状況 

金融システムの保守では、委託先が機密情報や顧客情報を取り扱う場合があるため、そのセキュリティ水準は自社の情報管理リスクにも直結します。ISMS認証やプライバシーマークの取得状況に加え、対象業務に応じて、PCI DSSへの準拠状況やSOC報告書の有無・内容を確認しましょう。これらの認証・評価情報だけでなく、作業端末の管理、アクセス権限の設定、作業ログの記録・保管など、実際の運用ルールが適切に整備・実施されているかを確認することも重要です。 

金融規制・ガイドラインへの準拠 

金融機関には、適用される法令や業界基準に基づき、外部委託先を適切に管理することが求められます。そのため、委託先がFISC安全対策基準や金融庁の関連指針など、対象業務に関係する規制・ガイドラインを理解しているかを確認しましょう。 

あわせて、法令・ガイドラインの改正情報を継続的に収集し、必要な対応を検討できる体制が整っているか、監査資料の提出や委託元による監査に協力できるかも確認することが重要です。 

品質管理・テスト体制 

保守段階では、制度改正や機能改善に伴う改修が発生するため、品質を確保する仕組みが重要です。変更内容のレビュー体制、影響範囲の調査手順、回帰テストの実施基準、テスト環境と本番環境の分離などを確認しましょう。 

また、不具合の管理方法や原因分析、再発防止策の実施状況も評価のポイントです。単純な不具合件数だけでなく、問題発生後の対応プロセスや改善状況まで確認することで、委託先の品質管理体制をより具体的に評価できます。 

障害対応・運用保守サポート 

金融システムで障害が発生すると、取引や業務に大きな影響が及ぶおそれがあります。そのため、障害発生時の対応体制を事前に確認しておくことが重要です。具体的には、監視時間、初動対応時間、復旧目標、連絡・エスカレーション手順、障害原因の分析、再発防止策の報告方法などを確認しましょう。また、必要な対応水準をサービスレベル合意(SLA)として明確にし、委託元と委託先の間で合意しておくことが重要です。 

BCP・災害対策体制 

大規模災害やサイバー攻撃などによって委託先の業務が停止すると、自社のシステム保守を継続できなくなるおそれがあります。そのため、事業継続計画(BCP)の策定状況に加え、目標復旧時間(RTO)や目標復旧時点(RPO)、代替拠点の有無、復旧訓練の実施状況を確認しましょう。さらに、訓練結果を踏まえた計画の見直しが行われているか、自社の事業継続方針と委託先の対応体制が整合しているかを確認することも重要です。 

対応技術・技術領域 

金融システムは、COBOLのようなレガシーな勘定系基幹システムと、クラウドやWeb技術で構築された周辺システムが複雑に混在しています。Javaや.NETなどの開発言語、Azureの運用実績に加え、将来的なモダナイゼーションに対応できる柔軟な技術力が求められます。 

また、既存システムの老朽化や複雑化は、金融機関のDXを進めるうえで大きな課題となります。レガシーシステムがDXを阻む要因や、刷新を進める際の具体的な手法については、「金融業界のDXを阻むレガシーシステムとは?課題と刷新手法、成功の進め方を解説」で詳しく解説しています。 

とりわけ、レガシー技術を扱えるエンジニアは年々減少傾向にあるため、現在の保守対応力だけでなく、数年先を見据えたリソース確保と体制維持が可能かを見極めることが肝心です。 

プロジェクト管理・連絡体制 

技術力が高くても、連絡や情報共有に不備があると、障害対応の遅れや対応ミスにつながるおそれがあります。専任のプロジェクトマネージャーや窓口担当者の有無、定例報告の頻度・内容、担当者変更時の引き継ぎ手順、再委託先の管理方法などを確認しましょう。オフショア体制を活用する場合は、日本語でのコミュニケーション方法、対応時間帯、ブリッジエンジニアの配置、障害発生時の連絡ルートなども確認しておくと、委託後の認識のずれを防ぎやすくなります。 

費用・契約条件の透明性 

見積金額の安さだけで判断せず、追加費用の発生要因や契約条件の透明性を細部まで精査することが成功の条件です。月額固定費や作業単価などの費用内訳、保守の明確な対象範囲、秘密保持や損害賠償条項の妥当性を確実にチェックしましょう。特に見落とされがちな契約終了時のデータ返却ルールや他社への引き継ぎ対応について事前に明記しておくことで、将来的な委託先変更やシステムの社内内製化を検討する際もスムーズな移行が可能になります。 

金融システム保守を委託する際の進め方 

金融システムの保守委託を成功させるには、委託先の選定だけでなく、事前準備や引き継ぎも重要です。準備が不十分だと、認識のずれや引き継ぎ漏れが障害につながるおそれがあります。 

ここでは、金融システムの保守委託を進める基本的な流れを3つのステップに分けて解説します。 

how to successfully implement financial system maintenance outsourcing
金融システムの保守委託を成功させる導入の進め方 

目的と要件の整理 

金融システムの保守委託では、まず委託する目的を明確にすることが重要です。社内のIT人材不足の解消、運用コストの最適化、監視体制の強化、DX推進など、自社の課題と優先順位を整理しましょう。目的を明確にすることで、委託先の選定基準を具体化できます。 

金融DXのメリットや推進ポイントについては、金融DXの基礎知識と成功のポイントで詳しく解説しています。 

次に、委託する保守業務の範囲と現行システムの状況を整理します。システム監視、障害対応、法改正への対応などについて役割分担を明確にするとともに、設計書や運用手順書を最新の状態に整備しておくことが、円滑な引き継ぎと運用トラブルの防止につながります。 

開発会社の選定と見積もりの比較 

委託範囲が固まったら、提案依頼書(RFP)を作成し、複数の企業に提案を依頼します。対象システムの概要、保守範囲、求めるサービスレベルなどの条件を統一することで、各社の提案を比較しやすくなります。 

選定時は、先述の9つのチェックポイントをもとに評価項目と配点を設定し、技術力、セキュリティ、障害対応体制、費用などを総合的に評価しましょう。 

見積もりを比較する際は、金額だけでなく、初期引き継ぎ費用、追加作業の単価、保守対象範囲、対応時間なども確認します。また、書類審査に加えて候補企業との面談を行い、実際に保守を担当するメンバーの経験や対応方針を確認することも重要です。 

開発からリリースまでの流れ 

委託先を決定したら、契約締結後に現行の保守担当者から業務知識や関連資料を引き継ぎます。必要に応じて共同保守や並行稼働を実施し、対応手順や役割分担を確認したうえで、本格的な保守・運用へ移行します。 

契約時には、サービスレベル合意(SLA)、秘密保持義務、再委託の条件、障害発生時の連絡体制などを明確にしておきましょう。また、引き継ぎのスケジュールや完了条件を事前に定めることも重要です。 

金融システムは業務ロジックが複雑で、担当者の経験に依存する知識が残っている場合もあります。そのため、システムの規模や複雑さに応じて十分な引き継ぎ期間を確保しましょう。運用開始後も、定例報告やサービスレベルの評価を通じて改善点を把握し、委託先を継続的に管理することが大切です。 

よくある質問 

Q1. 金融システムとは何ですか?  

金融システムとは、銀行、証券会社、保険会社、クレジットカード会社、フィンテック企業などの業務を支えるITシステムの総称です。口座管理、送金・決済、融資、リスク管理などを支え、金融サービスを安全かつ正確に提供するために利用されます。システムの停止は業務や利用者に影響を及ぼすおそれがあるため、高い信頼性、可用性、セキュリティが求められます。 

Q2. 金融システムにはどのような機能が必要ですか?  

金融システムの主な機能は、口座管理・顧客情報管理、送金・決済・取引処理、リスク管理・不正検知、レポート・帳票出力の4つに大別されます。これらの機能が連携することで、金融機関の業務や取引処理を支えています。必要な機能は、金融機関の業態や対象システムによって異なります。 

Q3. 金融システムの保守を外部委託するメリットとは? 

最大のメリットは、社内のIT人材不足を補いながら、必要な専門知識や運用保守体制を確保できることです。社内のリソースを新規開発やDX推進に振り向けやすくなる一方、委託後も委託元には適切な管理・監督が求められます。そのため、委託先の選定に加え、運用開始後も継続的に対応状況やサービス品質を確認することが重要です。 

Q4. 金融システムの保守委託先を選ぶ際に確認すべき項目とは? 

主な確認項目は、金融分野の実績、セキュリティ対策、法令・ガイドラインへの対応、品質管理、障害対応体制、BCP、対応技術、プロジェクト管理、費用・契約条件の9つです。価格だけでなく、自社の業務要件や対象システムの特性に照らして、各項目を総合的に評価しましょう。 

Q5. 金融システムの保守委託はどのような手順で導入すればよいですか? 

まず、委託する目的と保守範囲を整理し、現行システムの資料を整備します。次に、提案依頼書を作成して複数社から提案・見積もりを取得し、委託先を選定します。契約締結後は、資料や業務知識の引き継ぎ、必要に応じた並行稼働を経て、本格的な保守・運用を開始します。運用開始後も、定例報告などを通じてサービスレベルの達成状況を確認し、継続的に改善することが重要です。 

まとめ 

金融システムの保守委託では、システムの安定稼働とセキュリティを確保するため、委託先を慎重に選定することが重要です。価格だけで判断せず、実績・技術力・セキュリティ・障害対応力などの評価項目を総合的に確認しましょう。また、対象システムの機能や委託範囲を明確にし、引き継ぎから運用開始後の管理まで計画的に進めることが、安定した保守体制の構築につながります。 

ルビナソフトウエアは、銀行・証券・保険などの金融分野において、システムの開発から保守・運用まで幅広く支援しています。銀行業務で15年以上の経験を持ち、金融業務に精通した300名以上のプログラマーが在籍しています。 

これまで、銀行の投資信託システムや証券会社の営業支援システム、生命保険の業務管理システムなど、多様な金融システムの開発・保守に携わってきました。COBOLやメインフレームなどのレガシー技術から、Javaを用いた周辺システムまで対応し、既存システムの安定稼働と継続的な改善を支援します。 

金融システムの保守委託や委託先の見直しをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。 

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