レガシーシステムとは?問題点5つ・脱却理由3つと解決策を徹底解説
「2025年の崖」が現実となりつつある今、企業のDX推進は待ったなしの急務です。
しかし、その大きな足かせとなっているのが、長年の利用で複雑化・老朽化したレガシーシステムの存在です。かつて企業の基幹業務を支えたこのシステムは、今や技術的な陳腐化やブラックボックス化により、維持コストの増大、セキュリティリスクの深刻化、DXの遅れという重大な経営課題を引き起こしています。
本記事では、レガシーシステムの問題点や脱却できない3つの理由や成功のための解決策を徹底解説します。この記事を通じて、貴社が抱える真の課題を認識し、次の一歩となる具体的な行動指針を見出す一助となれば幸いです。
そもそもレガシーシステムとは
レガシーシステムとは
レガシーシステムとは、企業で長年にわたり使用され、機能拡張や修正が繰り返された結果、複雑化・老朽化し、最新技術への対応が難しくなったITシステムを指します。
業務の中核を担うシステムである一方、ブラックボックス化が進行し、保守・運用コストの増大や、技術者不足(人手不足)による改修の困難さなど、経営上の重大なリスクを抱えています。
IPAの調査によると、ユーザー企業の約6割が何らかのレガシーシステムを保有している状況であり、この問題は一部の企業だけの課題ではないことが示されています。

※出典:DX傾向2025 IPA
IPAが公表した「DX白書2025」のデータを見ると、ユーザー企業におけるレガシーシステムの残存状況が、日本と海外で異なる傾向にあることが分かります。
この図表から、刷新の停滞: 2022年度から2023年度にかけては「レガシーシステムはない」企業が増加傾向にありましたが、2024年度は傾向が横ばいとなっており、レガシーシステム刷新が頭打ちの状態に入っている可能性が指摘されます。これは、多くの企業が抜本的な解決策を見いだせず、対応が停滞している現実を浮き彫りにしています。
代表的なレガシーシステムの例
貴社のシステムがレガシーシステムに該当するかどうかを判断するため、代表的な事例とそれぞれのリスクについて確認しましょう。
これらのシステムは、導入された当時は画期的でしたが、現代においては競争力を失う最大の足かせとなっています。
| 種類 | 概要 | 課題・問題点 |
| メインフレーム | 1960年代から基幹システムとして利用されてきた大型コンピューター。銀行などの金融機関で現役稼働しているケースが多い。 | 維持コストが高い・最新技術との連携が困難。 |
| オフィスコンピュータ(オフコン) | 1980年代に普及した中小企業向けの小型システム。特定の業務に特化し、独自のカスタマイズが施されていることが多い。 | 汎用性が低く、データ活用を阻害する場合がある。 |
| 古いデータベース | 稼働中の古いバージョンのOracle、DB2など。OSや周辺システムとの互換性が低い。 | データ形式が古く、最新の分析ツールとの連携が難しい。 |
もし貴社に上記のようなシステムが存在する場合、それは単なる「古いシステム」ではなく、将来の事業継続性を脅かす潜在的なリスクになっている可能性があります。
まずは現状のシステム構成を棚卸しし、どの領域にレガシー要素が残っているかを把握することが、脱却への第一歩となるでしょう。
レガシーシステムが引き起こす5つの問題点
レガシーシステムを放置することは、単なる非効率化に留まらず、企業価値を毀損する重大な経営リスクに直結します。
ここでは、レガシーシステムが引き起こす5つの問題点を詳しく解説します。

① 維持・保守費用の増大
レガシーシステムが引き起こす最も直接的な問題は、維持・保守コストの恒常的な増大です。これは、長年にわたる場当たり的な改修や機能追加の結果、システム内部がパッチワークのように複雑化し、全体像の把握や修正が極めて困難になるためです。その結果、新規機能の追加や、わずかなトラブル発生時にも、多大な時間と人的リソースを費やすことになり、予期せぬ費用が常に発生します。
さらに、旧式なプログラミング言語(COBOLなど)に精通した専門家の希少性から、彼らを確保するための人件費が高騰することも、コスト増大の大きな要因です。経済産業省の試算でも、IT予算のうち8割以上がレガシーシステムの維持に費やされており、「守りのIT」に偏重することで、本来DXに投下すべき戦略的な投資が圧迫されているのが現状です。このコストは、企業にとって重い負担となり、成長の足かせとなっています。
② 担当者退職によるブラックボックス化
レガシーシステムが抱える最も危険なリスクの一つが、システムのブラックボックス化です。これは、内部から安定運用を崩壊させる時限爆弾にも例えられます。
長年の改修を経て、システムの仕様やノウハウが特定のベテラン担当者の知識と経験にのみ依存する「属人化」が進行します。この担当者が退職・異動すると、システムに関する知見が組織から完全に失われ、誰も内部を理解・改修できない「完全なブラックボックス」と化します。ブラックボックス化したシステムでは、障害発生時の原因究明に膨大な時間を要し、復旧が遅れます。また、業務や法令の変更に伴う必須の改修も不可能となります。
③ サイバー攻撃や情報漏洩の危険性
レガシーシステムは、現代のデジタル環境における最も深刻なセキュリティリスクの一つです。最新のセキュリティ要件や脅威に対応できないことが、致命的な事態を招く可能性があります。
サポートが終了したOSやソフトウェアを使い続けることは、セキュリティホール(脆弱性)が発見されても、メーカーから修正パッチが提供されないことを意味します。これにより、外部からのサイバー攻撃に対して無防備な状態となります。もし情報漏洩やシステム停止などのインシデントが発生した場合、顧客の個人情報流出による損害賠償や、企業の信用失墜といった、回復困難なダメージを負うことになります。
④ DXの遅れとビジネスチャンスの損失
レガシーシステムが引き起こす最大の戦略的ダメージは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の遅延と、それに伴うビジネスチャンスの決定的な喪失です。
柔軟性に欠け、AIやクラウド、ビッグデータなどの最新技術との連携が極めて困難なレガシーシステムは、迅速なビジネスモデル変革(DX)を不可能にします。競合他社がデジタル技術を活用して新たなサービスを創出し、顧客体験を革新する中、自社だけが旧態依然とした業務プロセスに縛られ、市場における競争優位性を失っていきます。これにより、新しい収益機会を捉えることができず、結果的に企業の成長が停止してしまいます。
⑤ 業務停止につながる重大インシデント
レガシーシステムの老朽化は、「業務停止」という致命的なインシデントを引き起こすリスクを増大させます。これは、企業の事業継続性(BCP)そのものを脅かします。
データの蓄積やシステムの肥大化によって処理速度は低下し、まず夜間バッチ処理の遅延や応答性の悪化など、日常業務に継続的な支障をきたします。さらに深刻なのは、老朽化によるハードウェア・ソフトウェアの劣化が原因で、予期せぬエラーや突発的なシステムダウンが発生する可能性が格段に高まることです。
なぜ企業はレガシーシステムから脱却できないのか
レガシーシステムがもたらす深刻なリスクを認識しながらも、多くの企業が脱却に踏み切れていないのが現実です。

企業がレガシーシステムという足かせをなかなか外せない3つの要因を掘り下げて解説します。
- 人的リソースの枯渇と知識の属人化
- 既存レガシーシステム依存
- 経営層の判断遅延と戦略的な予算の欠如
以下では、それぞれの要因を詳しく見ていきます。
人的リソースの枯渇と知識の属人化
レガシーシステム脱却を阻む最大の要因は、IT人材の供給不足と、それに伴う知識の属人化という構造的な問題です。脱却に向けた戦略があっても、それを実行できる「人」が社内に存在しないのです。
既存システムを熟知するベテラン技術者が定年等で次々と退職する一方、そのノウハウは適切に継承されず、組織の知識が急速に失われています。これにより、運用保守が特定の担当者以外には手出しできない「完全な属人化」が進行します。このように、企業は「古いシステムを保守できる人材の枯渇」と「新しいシステムを構築できる人材の不足」という、二重苦の状態に陥っています。結果、技術的な負債が解消されることなく積み上がり続ける悪循環を生み出しているのです。
既存レガシーシステム依存
レガシーシステムから脱却できない最大の理由のひとつは、既存システムへの過度な依存にあります。長年にわたり自社の業務プロセスや文化に深く根付いたシステムは、単なるITインフラではなく、企業活動そのものを支える“基盤”として存在しています。そのため、システム刷新の議論が持ち上がっても、「今動いているのだから問題ない」「変更すると現場が混乱する」といった現状維持の心理が強く働きます。
特に、レガシーシステムが独自仕様で構築されている場合、どの機能がどの業務に関係しているのかが明確でなく、ブラックボックス化が進行しています。この状況では、新システムへの移行要件を定義すること自体が難しく、プロジェクトの出発点からつまずいてしまうケースも少なくありません。また、過去にシステム開発を外部ベンダーに依存してきた企業ほど、社内に技術的知見が蓄積されておらず、刷新の主導権を握れないという課題があります。結果として、「ベンダーが対応してくれるまで何もできない」という受け身の体質が根付いてしまい、自社のデジタル変革を自ら推進する力を失っているのです。
経営層の判断遅延と戦略的な予算の欠如
レガシーシステム脱却の成否を分ける最終的なカギは、経営層のリーダーシップと判断にかかっています。これを阻むのが、判断遅延と戦略的投資の欠如です。
基幹システムの刷新は大規模かつ長期にわたる投資が必要ですが、その効果は主にリスク低減やコストの適正化といった守りのITの側面が強くなります。対して、売上向上など攻めのITのような直接的な効果が見えにくいため、経営層のROI(投資対効果)評価が難しく、予算承認が遅延しがちです。この判断の遅れこそが、DXによる市場参入の遅延という最大の機会損失につながります。短期的な「ITコスト」を優先し、中長期的な企業価値の毀損を招くという、戦略的ミスマッチが発生しているのです。
レガシーシステム脱却を成功させるための解決策
レガシーシステムがもたらす問題を理解した上で、次に取り組むべきは具体的な脱却方法の検討です。
レガシーシステムから脱却するための代表的な3つの方法を解説します。
- モダナイゼーション
- マイグレーション
- クラウド活用

以下にそれぞれについて詳しく解説します。
モダナイゼーション
モダナイゼーションとは、既存のIT資産を最大限に活用しながら、老朽化したシステム構成要素を段階的に現代の技術基盤へ置き換える手法です。単なるシステムの交換ではなく、ビジネス要件の再定義や技術的負債の解消を目的とした戦略的なアプローチと言えます。このアプローチの最大のメリットは、現行の業務機能や慣習を維持しつつ、システムの最適化と老朽化対策を同時に実現できるため、フルスクラッチ開発に比べてコストや移行リスクを抑えられる点にあります。このモダナイゼーションを実現するための代表的な手法として、新しい製品に置き換える「リプレイス」、既存のコードを新しい言語で書き直す「リライト」、基盤だけを刷新する「リホスト」などが挙げられます。これらの手法を適切に組み合わせることで、システムの柔軟性、保守性、セキュリティを飛躍的に向上させることが可能です。
マイグレーション
マイグレーションとは、既存のシステムやデータ、アプリケーションなどのIT資産全体を、新しい技術環境やプラットフォームへ移し替えることです。モダナイゼーションが既存資産の活用に重点を置くのに対し、マイグレーションはレガシー技術を根本から切り離し、技術的負債を一掃することを主目的としています。具体的な作業には、アプリケーション、データベース、ストレージ、ビジネスプロセス管理(BPM)などの要素を新環境へ移すことが含まれます。このアプローチにより、システム全体のパフォーマンスと安定性が向上するだけでなく、旧来のベンダーや技術への依存から脱却し、将来的な拡張性を確保することができます。
クラウド活用
レガシーシステムからの脱却において、クラウド活用はもはや選択肢ではなく、柔軟性とコスト効率、そしてビジネス変革の基盤を実現するために不可欠な要素となっています。クラウドへ移行することで、物理的なサーバーの購入・維持管理が不要となり、必要な分だけリソースを利用する従量課金制でITコストを最適化できます。具体的な手法としては、自社サーバーで運用していたシステムをAWSやAzureといったクラウドプラットフォーム上へ移行するクラウドマイグレーション、あるいは基幹業務システムをクラウドサービスとして利用するクラウドERP(SaaS)の導入などが挙げられます。クラウド環境は、リソースの拡張性や俊敏性に優れているため、企業はAIやビッグデータ分析、IoTといった最新のデジタル技術を迅速かつ低リスクで導入しやすくなります。つまり、クラウドはレガシーシステムの呪縛から解放され、攻めのDXへと転換するための最も強力な武器となります。
よくある質問(FAQ)
ここでは、多くの企業から寄せられるレガシーシステムに関するよくある質問をまとめ、分かりやすくお答えします。
Q1: レガシーシステムとは?
レガシーシステムとは、企業で長年にわたり使用された結果、複雑化・老朽化が進み、最新技術への対応が困難になったITシステムを指します。かつては業務を支えていましたが、現在はシステム内部がブラックボックス化し、保守・運用コストの増大、セキュリティリスクの深刻化、そしてDX推進の大きな足かせとなる経営上の重大なリスクを抱えています。
Q2: レガシーシステムが引き起こす問題点?
レガシーシステムの主な問題は、IT予算の8割以上を占める維持・保守費用の恒常的な増大、特定の担当者への依存によるシステムのブラックボックス化、サポート切れによるサイバー攻撃や情報漏洩の危険性、DXの遅れとビジネスチャンスの決定的な喪失、そして老朽化に伴う業務停止につながる重大インシデントのリスク増大の5点です。これらの問題により、企業は「守りのIT」に偏重せざるを得ず、競争優位性を失うという戦略的ダメージを負います。
Q3: レガシーシステムから脱却できない理由とは?
企業がレガシーシステムから脱却できない主な理由は3つあります。1つ目は、既存システムの知識を持つ人材が減少し、ノウハウが個人に依存してしまう「属人化」による人的リソースの課題です。2つ目は、システムが業務と一体化していることによる「現状維持バイアス」や、外部ベンダーへの過度な依存など、組織的な抵抗が存在する点です。3つ目は、刷新の効果が「守りのIT」として見えにくいため、経営層の判断が遅れ、戦略的な投資予算を確保できないというリーダーシップと財務の課題です。
Q4: レガシーシステム脱却を始めるにはどうすればよいですか?
脱却を成功させるには、まず「守りのIT」から「攻めのIT」への投資転換を決断することが不可欠です。具体的な戦略としては、既存資産を最大限に活用し、コストとリスクを抑えて現代化を図るモダナイゼーション、レガシー技術を根本から切り離し、技術的負債を一掃するマイグレーション、そして柔軟性・俊敏性を高めるクラウド活用という3つの主要なアプローチから、貴社のビジネス要件に合った最適な手法を選択します。
貴社のレガシーシステム脱却を成功に導くパートナーとして、ルビナソフトウエアが最適なソリューションをご提案いたします。まずはご相談ください。
レガシーシステムの移行・運用・最適化までワンストップサポートします。
まとめ
レガシーシステムは、単に古いシステムではなく、企業の競争力を低下させる大きな技術的負債です。維持コストの増大、セキュリティリスクの深刻化、そしてDX推進の決定的な遅延といった問題は、もはや看過できない経営リスクに直結しています。レガシーシステムからの脱却は、決して簡単で短い道のりではありません。
しかし、この困難な課題に立ち向かうことは、技術的負債を解消するだけでなく、業務プロセスを見直し、データを活用し、新しいビジネス価値を創造する絶好の機会でもあります。この戦略的な転換を実現するためには、レガシー技術を深く理解し、同時に最新技術への移行を主導できる専門的なパートナーの存在が不可欠です。
レガシーシステム脱却を実現するために、ルビナソフトウエアが最適な戦略と技術力でサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

弊社には、COBOLやPro*Cなどのレガシー技術に精通した300名以上のエンジニアが在籍しており、お客様のご要望に応じた柔軟かつ高度な体制づくりが可能です。
ルビナソフトウエアと共にレガシーシステム脱却の第一歩を踏み出し、未来への変革を実現しましょう。